【連載】帰国生のための中学・高校選びA to Z 第92回

2018年12月28日
文京女子コラム_650-423

中学・高校で帰国後の大学受験

 前回までは帰国生の中学受験や高校受験について説明させていただきました。今回は、中学生や高校生で帰国した場合の大学受験について触れたいと思います。
 帰国生大学入試は、ほとんどの国公立大学や早稲田大学や慶應義塾大学、青山学院大学など一部の私立大学では、海外の高校の卒業を出願条件としているため、中学生や高校生で帰国した場合には受験できません。一方、国際基督教大学や上智大学など多くの私立大学では、海外の高校の卒業を出願条件としていないため受験可能です。また、海外の高校の卒業を出願条件としている慶應義塾大学や青山学院大学でも、中学校の課程に3年以上とか、中学・高校の課程を通じて4年以上というように、ある程度の年数を海外で学んだ場合には帰国生入試が受験できます。
                                                                                         実は、帰国生大学入試は国内生の大学入試と比べ受験生の負担が軽減されています。入試科目は文系学部の場合、小論文、英語、面接の3教科のみという大学が目立ち、中には英語を課さない大学もあります。理系学部の場合は、数学、理科、面接を課しますが、中には英語や小論文も課す大学もあります。一方で、理系学部でも小論文と面接のみという大学もあります。
 また、英語力の高い受験生が有利になる仕組みもあります。例えば、慶應義塾大学や東京大学、京都大学などでは、一次選考の書類審査でTOEFLやSATのスコアを利用しますし、TOEFLのスコアを英語の試験の代わりとして利用したり、出願基準としてTOEFLのスコアを利用したりする大学も目立ちます。

 しかし、先述した通り中学生や高校生で帰国した場合には、このような帰国生入試を受験できないため、国内生と同じ入試を受験しなければなりません。
 国内生の大学入試は、国公立大学の場合、大学入試センター試験を一次試験として課します。また、多くの大学で国語、数学、英語、地歴公民(1~2科目)、理科(1~2科目)の5教科の受験が必要です。さらに二次試験として、文系学部は国語、英語の2教科に加え数学または地歴公民(1~2科目)の受験が必要で、中には、これら4教科すべての受験が必要な大学もあります。また、理系学部では数学、理科(1~2科目)、英語の3教科を課す大学が目立ちます。一方、私立大学受験でも、国公立大学の二次試験と同様な教科の受験が必要です。
 このように、中学生や高校生で帰国すると、負担の重い大学受験が待っていると言えそうです。

 ただし、日本の大学入試も多様化し、さまざまな入試方式が導入されています。高校の成績が良好であれば、推薦入試が受験できます。また、AO入試(アドミッション・オフィス入試)というアメリカの大学のように、高校の成績や高校時代の活動やエッセイなどの書類を重視する入試もあります。中には、小論文や適性検査、基礎学力テスト、面接などを課す大学もありますが、多数の入試科目を受験する必要はありません。さらに近年では、グローバル入試やIB入試(国際バカロレア入試)を実施する大学が続々と登場しています。グローバル入試はAO入試の一種ですが、英語力の高い学生を求めるため、TOEFLやTOEICなど英語能力テストのスコアを重視するので英語圏からの帰国生は有利です。IB入試は、国際資格のIBの単位を取得した受験生が対象となりますが、書類選考のみとか、書類選考と面接のみで受験ができます。一部の高校にはIB取得のためのコースが設置されていますし、このコースでは英語のみで授業を行っているケースが目立ちますので、海外で培った英語力を活かすことができます。また、IBは全世界の大学受験に利用できるのも魅力です。

 また、文部科学省が教育のグローバル化を推進しているため、英語プログラムを設置する大学も増えています。このプログラムは留学生を対象とし、英語で行われる授業のみを受けて卒業し学位が取得できます。ただし、在外年数などの条件をクリアすれば、帰国生でも受験可能な大学もあります。上智大学や早稲田大学の国際教養学部では、以前から英語プログラムを実施していましたが、東京大学や京都大学など旧帝大系の大学や、慶應義塾大学や同志社大学など伝統ある人気大学でも英語プログラムを実施していますし、国際教養系の学部以外の学部にも設置されています。また、首都圏や近畿圏のみでなく、全国各地の大学にも設置されています。
 英語プログラムの大学は、帰国後に海外の大学に留学することなく得意の英語力を活かすことができますし、さらに磨きをかけられるという点が魅力です。

 このように、日本の大学の入試方式は多様化していますので、自分の実力を活かして受験することができます。出願条件を確認する必要はありますが、幅広い視野で選択するとよいでしょう。

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<執筆者>
丹羽筆人(名古屋国際中学校・高等学校 アドミッションオフィサー北米地域担当)
河合塾での指導経験を経て米国ではCA・NY・NJ州の補習校・学習塾にて指導。現在はデトロイトりんご会補習授業校講師。代表を務める「米日教育交流協議会」では、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、河合塾北米事務所アドバイザー、
名古屋商科大学アドミッションオフィサー北米地域担当。
【お問い合わせ先】E-mail: nihs@ujeec.org

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